大判例

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東京高等裁判所 昭和38年(う)129号 判決

被告人 横田八千代

〔抄 録〕

検察官の控訴の趣意は、原判決は、本件公訴事実中予備的訴因(風俗営業の無許可営業の教唆の事実)について主文において有罪の言渡をなし、主たる訴因(風俗営業の名義貸の事実)についてその理由中において罪とならないから無罪の言渡をなすべきものであるとの判断を示しているが、かかる判断は、法令の解釈を誤り、その誤が判決に影響を及ぼすこと明らかであるから、原判決は破棄を免れないというのである。よつて、按ずるに風俗営業等取締法第三条は、風俗営業に随伴して善良の風俗を害する行為が行われる虞があるから、かかる行為を防止するために風俗営業における営業の方法、型態及び態様に関し必要な規制を都道府県条令に委任する趣旨の規定であるから、同条は、都道府県が風俗営業における営業の場所、営業時間及び営業所の構造設備のみならず広くこの種営業に関し、善良の風俗を害する行為を防止するために必要な制限を条例をもつて定め得ることを規定したものと解するを相当とする(最高裁判所昭和三〇年(あ)第一六一三号同年一二月八日第一小法廷決定及び同裁判所昭和三五年(あ)第二三〇三号同三十七年四月四日大法廷判決参照。)ところ、風俗営業の名義貸行為をもつて同法第三条所定の制限範囲外に属するものであるとして放任されるとすれば、風俗営業を営む者が名義貸行為に出る場合風俗を害する行為を誘発する虞が多分にあるのであるから、昭和三十四年三月二十四日新潟県条例第四号新潟県風俗営業取締法施行条例第二十二条が風俗営業を営む者に対し自己の名義をもつて、他人に営業をさせることを禁止したのは、まさに風俗営業等取締法第三条の趣旨に添うものであり、同条所定の制限範囲を逸脱したものでないことは明らかである。ところで、原判決挙示の証拠を綜合すれば、本件公訴事実中主たる訴因(風俗営業の名義貸の事実)は、優にこれを認めることができるのであるから、原判決は所論のように法令の解釈を誤りひいて事実を誤認したものといわなければならない。原判決が右予備的訴因について主文において有罪の言渡をなし、右主たる訴因についてその理由中において罪とならないから、無罪の言渡をなすべきものであるとの判断を示したのは失当であり、右違法は、判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、所論は理由があり、原判決中被告人に関する部分は破棄を免れない。

(藤嶋 山本 小俣)

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